春風、漫ろに舞う

蒼樹がいれた暖房のお陰もあり、会った時より芽来の体は温かくなっていた。


風呂上がりに髪も乾かさないで、あんな風に外で待ってるとはな…。
風邪、引いてないと良いんだが。



「何があったの?」


「分からない。
母親にも、心配かけまいと色々隠してるんだろう。」


「……そっか。」


「そんなに抱え込まなくても良いんだがな。」



何を1人で戦ってるんだか。
全部俺が、お前の盾にも剣にもなってやれるのに。
俺にはその力だってあるんだから。


もっと、頼ってくれ。
頼られないのは、寂しいじゃないか。



「藤雅さあ、なんでそんな嬉しそうなの?」


「……にやけるだろ、こんなの。
俺と少し離れただけなのに、こんな風に俺を求めて縋ってくる。
もっと俺だけのにしたい。」



俺が居なければ、こんなにも脆く儚く壊れる彼女が。
俺は何よりも、愛おしい。

嗚呼、芽来の世界は俺で。
俺以外のものを全て拒絶するくらい、俺に溺れてしまえばいい。


十葵に、歪みすぎって言われたが。
そんなこと…俺にとってどうでもいい。