「早く言え、死にたいのか?」


「……芽来さんが、病院に運ばれました。」


「…は?」


「ご自身で、命を…ーーっ!」



若の目が、変わったと思ったら。
その瞬間には俺は若に胸ぐらを掴まれていた。


いきなりの事に、体勢が取れず息がつまる。
さっきまでとは違う。
目の奥が、ゆらゆらと揺れているように見える。
狂気…殺気、なのか。
言葉を間違えれば、今すぐこの場で俺は殺されるだろう。
だが、俺も怯んではいられない。
芽来さんの事を伝えなければならない。



「命は!無事です。
護衛の組員が、いつもよりお風呂の時間が長いことに違和感を持ち声掛けをしたそうですが何もお答えが無かったので無礼を承知で入ったところ、風呂場は血まみれで側には薬剤の瓶と錠剤が転がっていたそうです。
今は、組直属の病院に運び処置中との事ですので参りましょう。」


「……ああ…。」



若は、俺の言葉を聞いて力なく手を離した。
すぐに車を回し、放心状態に近い若を乗せて病院へ向かった。