「ねえ、藤雅は?
連絡も来ないし、なにしてるの?」



「…若は…。
すみません、俺の口からは言えないです。
しばらくは俺がこちらで護衛させて頂きます。」


「言えないってなに…!?」



なんで隠すの?
そんなにやましいことしてるの!?

おかしい、こんなこと初めてだ。
もしかして裏切られた…?



蒼樹に掴みかかりそうなったけど。
なんとか残っていた理性で抑え込み、代わりに自分の頭を掻きむしる。



「もういい、わたしはシャワー浴びてくるから。」


「いってらっしゃいませ。
朝食を用意してお待ちしております。」



いらない。
朝ごはんなんて、食べられる気がしない。


藤雅はなにしてるの?
わたしには言えないって何?
わたしが知ったらまずいことなの?



「ねえ…。」



こんなこと初めてだから。
だんだん心配にもなってきた、イラつきよりも心配が勝る。
もしかして、変なことに巻き込まれたんじゃないの…?



「おかえりなさい。
本日は午後からバイトでしたね、お時間に間に合うようにお送り致しますので。」


「今日は行かない。
…美味しそう、いただきます。」



ドライヤーもせず、スキンケアだけして。
ダイニングテーブルに並んだ食事に手をつける。


なにか言いたそうな蒼樹の視線を感じるけど。
それも気がつかないフリをしている内に、いつもの視線に戻って行った。