あまりの美しさに惹かれていたら。
その人は、ゆっくりと目を開けてわたしを射抜いた。



「なにをジッと見てる。俺の顔に穴でも開ける気か?」


「ご、ごめんなさい。あまりにも綺麗だからつい…。」



しゃ、喋った…。
びっくりした、想像してたよりも低い声だし話しかけられると思っていなかったから。
それに…切れ長の瞳が鋭くて、少し怖い。


慌ててその男から目を逸らして、視線を彷徨わせる。
あれ、もしかして…。

その時に気がついた。
この人の着てるスーツ、海外の有名ブランドだ。
一着のスーツで0が6つは付くだろう。



「綺麗だと…?
それを言うなら、あんたの髪の方だろ。
シルバーホワイト、この月によく映えるな。」



組んでいた長い足を解いて、真っ直ぐわたしの方へ向かってくると。
わたしの髪を一房、手にとる。
そのままするっと指を通すと、そのまま公園の入り口の方へ歩いて行った。