春風、漫ろに舞う

あれ…?
さっきの女のひとたちは?
休憩はもういいの?


聞きたいことが色々あるのに、口から出てきたのはただの安堵のため息で。
そのまま藤雅の体に自分の体を預ける。


「ありがと。」


「あんまり俺のいないところには行くな。
視界にお前の姿がないと不安になるだろうが。」


「ごめんね、そんなに拗ねないで。」



藤雅の頬をつんつんしながら。
藤雅の腕から出て、転んだ時に手放した日傘を拾う。


暑いし、そろそろ戻ろうかな。



「わたし、そろそろ向こうに戻るけど藤雅はどうする?
サーフィンまだする?」


「いや、俺も戻る。
…十葵、これ頼む。」



近くにいた十葵にサーフボードを手渡すと。
わたしの手から日傘を取って、そのまま腰を抱くようにして歩き出した。


藤雅の上半身がなんだか見れなくて。
思わず目を逸らしそうになるけど、感づいた藤雅が私の顔を覗き込むようにしてみてきた。



「な、なに?」


「俺の彼女、可愛いなあと思ってな。」


「恥ずかしいからやめて。」



珍しく、顔をくしゃっとして笑う藤雅。
いつもの余裕のある笑みじゃなくて、なんとなく。
この笑みが本当の藤雅なんだと感じた。