春風、漫ろに舞う

「…こんな感情、わたしらしくない。
自分きも…。」



これ以上は見ていたくない。

すっと、日傘で見えないように隠して。
自分の足元に視線を移した。



藤雅と付き合うようになってから、本当に自分らしくない感情が出てくるようになってきたと思う。

こんな、嫉妬心なんてわたしには無縁だったはずなのに。



「…はあ…。」



チラチラと向こうを気にする自分に嫌気がさして。
浅瀬から足を進めて、膝下ぎりぎりのところまで海に入る。


わたしの藤雅なんだから近寄らないで、って言いにいけない自分も意気地無しで嫌だ。
だって、性格悪そうな顔してるんだもん。
悪そうというか、キツそう。



「舞い落ちる 花欠片
桜が届けよう貴方への気持ちを
わたしがここに居ることを」


ぽちぽちと、スマホにメモをしつつ。
海から上がろうとしたら。



「わ!」



身体が宙に浮く感覚がする。


あ、これ転ぶやつ。
しかも後ろから…すってんころりん。
次の瞬間に、身体に走るであろう衝撃を少しでも弱めようと無意識に身体が強ばる。



「…とう、が…?」


「あぶねえだろ。」



嗅ぎなれた香水の香りに、顔を向けると。
藤雅が後ろからわたしを支えてくれていた。