春風、漫ろに舞う

「巡、いくつか楽曲提供してるよね。
この間たまたま流れてきた動画のエンドロールに名前があった。」


「あ、見てくれたの?」


「うん。
流れてきた曲が巡っぽいなって思ったら、やっぱり巡だった。
名前…煌月 巡にしたの?」


「したよ。
わたしのことも知ってもらえば、煌月の知名度もあがるかなって。」


「僕も、君と同じ考えだ。
だから見て。」


「…同じだ…。」



柊が見せてくれたのは、1枚のフライヤー。
掛け持ちしてるバンドのやつで、ベースのところには煌月 柊の名前。


わたしと、同じこと考えてたんだ…。
柊は、その腕を買われて色々なところに引く手数多だから。
既に名前だって、この辺のバンドしてる人達なら知ってるはず。



「ありがとう。
本当は、他のところからも声がかかり始めてるんだよね。」


「…知ってたの?」


「知ってるよ。
最近の雰囲気から、なんとなく…ね。」


「巡には隠し事できないな。」



柊は困ったように笑っていたけど。
その中に、悲しそうな顔をしたのをわたしは見逃さなかった。


ずっと、見てきたから。
バンドメンバーとして…友達として。