「ここにいたのか。」


「ちょっと整理したくて。
ある程度は手伝ってもらったから終わったけど、ここはわたししか分からないだろうから。」



部屋に入ってきた藤雅に答えつつ、段ボールを開けていく。
ほとんどは組員さんや十葵が手伝ってくれた。


わたしの部屋よりも1部屋ずつが広いここでは、どんな収納の仕方をしても質素に見える。
見せる収納術なんて調べて実践したけど、意味ないかも。
もう少しバイト増やして、色んな機械とか音楽関連のもの増やしていきたいな。



「夏休み、もうすぐ終わるだろ。
どこか行くか?」


「いいの?」


「良いに決まってる。
お前が行きたいところ、どこでも連れてってやるぞ。」


「うーん…。
かと言って、特に思いつかないんだよね。
暑いし、海とかも好きじゃないし…。」



根がインドアのわたしとアウトドアの藤雅。
毎年、組員総出で海に行くみたいで明後日は藤雅にもお声がかかってるらしい。
わたしも誘われたけど、海嫌いだし…なにより、逃亡してから一度も藤雅のご実家には行ってないしお会いするのもなんだか気まずくて。
藤雅は、わたしが行かないから行かないって言い張ってるから現在も説得中。