春風、漫ろに舞う

「ダメだね、藤雅といると甘えてばっかりだ。
あ、これ美味しいね。」


「お前はもう少し甘えていいんだよ。」


「あんまり甘やかさないで。」



芽来は、むっと頬を膨らませながらも、俺が作った飯を食べて。
嬉しそうに目を細めている。


出会った頃に比べて、少しだけ芽来の表情も和らいだと思う。
ツンツンしていたのも好きだったが、今の方が似合ってる。
前の方が、どうやって屈服させようか試行錯誤する楽しみもあったけどな。



「…藤雅、今変なこと考えてるでしょ。」


「お前が可愛すぎてな。
今晩はどうしようか考えてた。」


「馬鹿だねえ。」



ふふっと呆れ顔をしながら。
食べ終えた食器をシンクへ持って行こうとする腕を掴んだ。



「わ、びっくりした。
落としたら危ないよ。」


「風呂行くぞ。」


「はいはい。」



足早にキッチンから戻ってきた芽来の手を引いて風呂場へ向かう。
俺がタオルなどを準備してる間に、芽来が入浴剤を選んで入れる。
一緒にいる時は、毎回こうだ。