春風、漫ろに舞う

「美味いか?」


「うん。」


「…俺も食いてえ。」


「あ、いいよ。」



りんご飴を食べながら、屋台通りを歩いて他の屋台も見ていると。
藤雅がそういうので、りんご飴を渡そうと顔を上げたら。
そのまま、わたしにキスをした。



「え、ちょっと!なにしてるの。」


「甘いな。」


「そりゃ…りんご飴ですし。」



いやいや、そうじゃなくて。
なんでこんな人の往来があるところで平気な顔してキスしてくるかな。


そういうの、慣れてないから。
ほんとに…恥ずかしい。
顔赤いだろうな、わたし…。



「若、そろそろ花火の方へ。」


「ああ。
…綺麗に見えるところを場所取りしてある。
行くぞ。」


「やった、ありがとう。」



わたしがそう言うと。
藤雅は、鋭い切れ長の目を緩めて。
優しく笑ってくれた。


この顔。
わたしが大好きな、顔。