春風、漫ろに舞う

「まあ、いいか。」



着付けするのも大変だし、動きにくいし。
これでいいよね。

自分にそう言い聞かせながら、藤雅に電話を掛けると。
すぐに出てくれて、ここまで迎えに来てくれるようだった。



「芽来、待たせたな。」


「あ、きた。」



弄っていたスマホから顔を上げると。
さっきと変わらないスーツ姿の藤雅と十葵たちがいた。

こんなお祭りの場にスーツ姿なのと、その顔立ちも相まってすれ違う人がチラチラ見ている。



「芽来さん、お疲れ様です。」


「蒼樹さん。お疲れ様です。」


「先程のライブ、素敵でしたよ。」


「あはは…。
ありがとうございます。」



なんだか恥ずかしいな。
今更になって、なんだか照れくさい気持ちになってきちゃった。



「い、行こ。
藤雅はお腹すいてない?
わたしお腹すいちゃったから、何か食べたいな。」



話を変えたくて。
急かすように、藤雅の手を引っ張る。


本当は屋台の食べ物、あんまり好きじゃないのに。
そんな事はないと思うけど、汚い気がしちゃって。