春風、漫ろに舞う

「あ、わたし行かなきゃ。」


「大丈夫?」


「うん。
友達と一緒にお祭り回る約束してるんだ。
じゃあまたね、今日はお疲れ様。」



打ち上げは今度しようね、と。
みんなに手を振ってわたしはテントを出た。


どこにいるかな、藤雅。
連絡入れる前に少し身だしなみチェックしよう。



「うわ…顔、疲れてる。」



人混みから離れたところで。
スマホの画面を鏡代わりに、軽く髪の毛を整えていく。


一応、着替える時に汗でどろどろになったメイクもやり直したし。
髪の毛も、簪を外して整えてはいたけど。
これだけ暑いと汗で崩れちゃうね。



「…可愛いなあ…。」



出店の裏の隅から、表通りの方を見ると。
ちらほらと浴衣を着た女の子たちが見える。

それに引き換え、わたしといえば日焼け対策の長袖白Tシャツにジーパン。
後から回るお祭りよりも、衣装に着替えやすいようにしか考えていなかった。