春風、漫ろに舞う

そう思って歌えば、自然と涙が頬を伝う。
それを見て観客はまた声を上げる。
曲の中の歌詞と、自分を置き換えるのが1番人に伝わる方法だとわたしは思う。



「涙が止まらない夜は
僕が君を慰めるよ
だからどうか笑顔を見せて」


「今だけは桜の木の下で
貴方と逢瀬を重ねることを許して
月よ今だけは霞みがかり
何も映さず何も照らさずに」



柊がわたしを抱きしめる。
きゃ〜!!っと歓声が湧き出る中、鼻をすするような声も聞こえてきた。


大丈夫、ちゃんと会場を沸かせてる。
ファンばかり集まるいつものライブとは違うから、不安だったけど。
これなら大丈夫そうだ。



「はい!
1曲お聞きくださりありがとうございます!
私たち、煌月です!
いつもは週末に小さなライブハウスでライブをしています。」



1曲終わったところで、瑛のMCが入る。
ここで休憩をしつつ次の曲の準備。
と言っても、わたしは楽器の準備とかも無いので瑛のMCに頷いたり少し口を挟むくらい。

実は1番苦手な時間でもある。