春風、漫ろに舞う

「織。」


「うん。
…煌月、いきます!!」



舞台袖で、円陣を組んで。
わたしたちはステージへと上がった。



「伸びる影の後ろ姿を
わたしは行かないでと手を伸ばす
だけどもその手は空に巣搔く」


「きゃー!!!」



わたしたちに向けられる歓声。
聞き馴染みのあるイントロ。


今のわたしは芽来じゃない、煌月の巡だ。


ここはわたしの…わたしたちの舞台。
この会場の中心にいるのはわたしたちだ。



「だから見せるの
今だけは忘れないでいて
これは儚き小さな御伽ノ国ノ物語」


「僕は君を忘れない
君が忘れる日が来ても僕だけは」


「わたしは君を…AhーAhー…」



この歌は、大好きな人を置いて行ってしまう悲しき恋の歌。

大好きな人を想いながら歌うんだ。
今のわたしは、大好きな人を置いて行きたくないのに置いていかなければいけない。
どうして、わたしなの。
貴方と一緒にいたいのに。