春風、漫ろに舞う

歌い慣れたフレーズを口ずさんだら。
気持ちが少し、落ち着いた気がする。


お祭りに合わせて、煌月らしさを全面に出した曲をメインにセトリを考えたから。
ちょっとハードかもしれないけど、頑張れそうな気がする。



「…そろそろ、戻ろうかな。」



帰り道の事もあるし、あんまりギリギリになると瑛が心配してそうだから。


そう思って、砂浜を後にしようとしたら。
見慣れた後ろ姿が視界の隅に映った。
思わず、その背中に声をかける。



「…藤雅?」


「芽来?」



お仕事中だったのか、何か指示を出していたようで。
わたしに気がつくとすぐに駆け寄ってきてくれた。



「お前、何でこんなところに…。」


「え、あ…散歩…?」


「なわけねえだろ。」


「えへへ…。」



トン、と。
わたしの首からぶら下がっている、カードホルダーを指さした。


藤雅にはバンドのこと言って無かったんだけどな〜。
これはバレちゃったか。