春風、漫ろに舞う

「巡、3時には戻ってきてね。
着替えとかもあるから…。」


「わかってる、1時間くらいだけだから。」



心配そうな顔をしていた瑛にそう声をかけて、わたしはテントを出た。



テントの中も扇風機しか無くて暑かったけど、やっぱり直射日光はもっと暑い。

出店が並んでいるところは人混みが凄いけど、1本外れた道はそうでもないから日傘を差して歩き始めた。



「わ〜…綺麗。」



キラキラと水面が光っている海沿いを歩いて行く。
花火は確か、ここで上がるんだよね。
藤雅とは現地集合にしてあるから、出番が終わって着替えたら丁度いいかな。


さすがにまだ、場所取りしてる人も居ないので海辺にはちらほらとしか人がいない。
奥の方には、花火大会の本部があるようでわたしたちの控え室と似たようなテントが立っていた。



「やがて来る春は
雪どけを待つ小さな花
手を取り戯れましょう御伽ノ国ノ物語」



声出しも兼ねて、緊張してソワソワした気持ちを鎮めるために。
そっと歌う。
喉を痛めたら元も子もないから。