「お、お母さん…。」


「そうだ、お夕飯でも食べていく?
大したものはないけれど…。」


「いえ…。
お気遣いありがとうございます、お母様。
今日は芽来さんを送りに来ただけですので、改めてまた機会を設けさせてご挨拶させていただきます。」


「あら、そう〜?」



わたしが思っていたお母さんの反応とは、真逆で。
呆然としている間に、話が進んでいっていた。


藤雅を見ると、藤雅もまたお母さんのテンションに困惑していたようだったけど。
上手く話をまとめると、車に乗り込んでわたしの家をあとにした。



「もう、芽来ったら。
あんな素敵な彼氏がいるなら早く言いなさいよ。」


「ごめん。」



藤雅が帰ったあと。
リビングでお母さんと夜ご飯を食べていると、不意に言われた。



「しっかりしてそうな子じゃない。
どこで知り合ったの?」


「公園だよ。
ほら、覚えてる?
前に拾ってきたハンカチ。あれの持ち主。」


「ああ、あの時の!
運命のハンカチね。」



素敵だわ〜と、1人で盛り上がってるお母さんを放置して。
ご馳走様、と先にご飯を食べ終えると自室に向かった。