「こんな気持ちを知るなら
貴方に出逢わなければよかった
わたしがわたしを嫌いになるくらい」



本当に。
貴方の存在を知らなければ良かった。


あの時、公園に行かなければ。
ハンカチを拾わなければ。


こんな思いをする必要なかった。



「それでもわたしは
貴方に恋焦がれるの
2人で花が見たいと笑い合いたいと
いつの日かを待ち侘びて
淡い期待と共に春を迎えるの」



きっともう、藤雅は。
わたしのことなんて忘れてる。
わたしと過ごした短い日々は、もう無かったことになっているかもしれない。


全部、自業自得だ。
自分から終わらせたんだから。
なのに、それを想像すると苦しくなる。



「……馬鹿だなあ、わたしは。」



自嘲的に笑うわたしの声が。
ただ暗闇の中に消えていった。