彼は「うざい」と周りを一喝してそのまま席を立ってしまった。


「近づくな」オーラを放って教室を出ていく結城くんの後ろ姿をぼっーと見つめる。


私、とんでもない人に恋しちゃったかも…


そう気づいた頃にはきっともう遅かった。





───「あれ?結城はどうした?」


HRの時間になって先生が教室へ入ってきて、私の隣へ目を向けたかと思えばどこか困ったように呟く。


「…あ、えっと、なんか用事があったみたいです…」


苦し紛れの嘘をついて誤魔化すと、先生は「悪いが……」と続けた。


「羽月、呼んできてくれないか」


えっ!!??まさかの言葉に声が出ず、自分を指して間違いではないか、と確かめる。
でも……深く頷いた先生には、なんの躊躇いもないみたいで……


私は重い体をなんとか起こして、結城くんを探すために廊下の方へ向かった。