不器用女子は、落とされる。

速川の目がこれほどかというほど見開く。
1.2.3.4.5.6.7.8.9……10秒は経っただろうか。
静かに、ゆっくりと速川の口が動いた。

「葵のこと、大切にするから。」

「うん、しないと許さない。」

「すっごい大事にするから。」

「うん。」

「俺と、付き合ってください。」


「いいよ。」


全力で笑えた、と思う。速川は私のその顔を見て息を飲んだ。そして、本当に蕩けそうな笑顔で笑った。