はぁ、とため息をつけば、白い息が見えた。


その数は、2つ。


「ねぇ、俺がなぐさめてあげようか?」

もう一つの白い息と声の主が分かった私は、さっきよりも早歩きで駅に向かう。

「無視すんなって。」

腕を掴まれ、仕方なく声の主を見る。

「そうやって口説くのは、私以外の子にしてくれる?あんたのからかいに付き合ってる暇はないの。」

「別にからかってないんだけど。」


拗ねたように言うのは、高校に入ってからやたらと私につっかかってくる速川颯太である。