不器用女子は、落とされる。

「はは、アイツらにはバレてたみたいだ。」

なにが?と聞く前に速川がまた話しだした。

「少しは俺の本気信じてくれた?」

耳元で囁かれて、反射的に体がぴくりと震える。

「耳元、やめて。」

「なに、弱いの?」

「………馬鹿野郎。」

精一杯の睨みをきかせても、速川はたじろぐどころかさらにきらきらと眩しい笑顔を向けてくる。周りからは生暖かい目で見られてる気がする。

「人前でこういうことしないで。」

「じゃあ2人きりなら」

「2人はもっと駄目だから。分かれ。」


ぐぎぎぎと速川の肩を押す私と、それを楽しそうに見ながらさらに抱きしめようとしてくる速川の攻防は、周りにがっつり見られていた。


周り
「(早く付き合ってしまえ。)」