不器用女子は、落とされる。


「え。」

「あ、来た。」

立っているだけで絵になる速川が、うちの塀に寄っかかっていた。うちの塀が速川のせいで雑誌の表紙に載れそうである。

う〜ん。

「どうした?」

「やっぱり速川って顔いいよね。」

「え、今更?」


そう、顔だけはいいのだ顔だけは。
昨日、速川は口説いたのは私だけ、なんて言っていたけど、だからと言って彼女がいた事がないとは言っていない。
確か、先月までめっちゃ可愛い彼女が居たはずだ。

放課後になると、校門前にモデル並みの可愛い子がいると噂になっていた。男子の間で。