不器用女子は、落とされる。

いや、心臓が跳ねたってなんだよ。


いつもの時間にアラームが鳴り、完全寝不足の私はふらふらと布団から起き上がった。

昨日の夜はろくに寝れなかった。
とにかく、色んな感情で頭はごっちゃごちゃだった。振られた事を思い出して泣きそうになれば、速川の事が頭にちらつき、泣くに泣けなかった。

もしかして、速川は慰めてくれたのだろうか。私が家で泣かないように私のことが好きと嘘をついてまで。

「俺、容赦しないから。」
速川のあの台詞を思い出す。
今までの速川の行動は、容赦されていたらしい。
はて、容赦とは?

とりあえず、学校で速川に会ったらマフラーを返すと一緒に「容赦してください。」と言おう。

そう思って玄関の扉を開けた。