最近違和感は感じはじめていた。鱈場といるとなんかムズムズするというか……。

あいつ…俺と会ったことがある気がする…。鱈場はそんな感じ無かったし気のせいか…?

鱈場には約束通り俺のことを教えた。言って何になるのかは分からないし女子は嫌いだから極力喋りたくない。

だがあいつはそれもわかっていながら俺の好きな食べ物をつくったり俺の好きな店に行ってみたりと意味わからんことをしていた。まあ、俺は鱈場のご飯なんて食べたこともないが。とりあえずわけは分からないがあいつといると胸に違和感を覚える。

そんなモヤモヤした気持ちのまま迎えた体育祭。俺はこれまでも鱈場には優しくしてこなかったが叶えたいことに協力してくれると言われてるためゲームには参加するようにしていた。

体育祭は特に何事もなく種目が進んだがある種目で俺の中で問題が発生した。

騎士と姫。このゲームはペアの片方が紙風船を頭につける。もう1人が剣で他ペアの紙風船を割る。そんな単純なゲームだ。

はじまる直前。

「歩!今だけは私はプリンセスだから歩がナイトになって私のことを守ってよね。」

鱈場はそう言った。目を見開いた。

聞き間違いかと思った。この言葉には聞き覚えがあった。間違いない。小5のときに俺が出会った初恋の相手。その子が似たようなことを言っていた。

「歩くん!いつも私、泣いてばっかりでごめんね。歩くんは王子様みたいだね!ううん、違うや。歩くんはナイトだ!これからお姫様でいられるようにするから歩くんはナイトで私を守ってね。」

確信をついた。鱈場は5年前に出会った俺の初恋の「ちーちゃん」だ。

やっとモヤモヤがはれた。鱈場は俺の初恋の人だから聞き覚えや見覚えがあった。本当に会っていたんだ。俺たち。やっと大きな大きな謎が解けた。

そこからの記憶はほとんどない。ずっと鱈場のことで頭が埋まっていた。

もう目標はひとつになった。鱈場いや千鶴を恋人にする。それだけだ。