入学して1ヶ月近く経った。

歩と話そうと考えたがすぐにどこかに行くしお風呂上がりにもすぐロフトに帰ってしまう。会話も必要最低限のものだけだった。

「はぁ……」

ちゃんとあいつのことを知ろうと考えたがさすがにここまでくるとイラッとしてくる。

翌日、教室に向かっている途中、珍しく1人でいる歩を見つけた。

…チャンス!!

歩に許可も取らずに歩を空き教室に向かって引っ張った。空き教室に入ると歩から声をかけてきた。

「んで、何?てか手、離してくんない?」

必死になって手を引っ張ったのを忘れていた。
瞬時に手を離すと気のせいかもしれないが歩が、軽く笑った気がした。

……ってそんな事よくて…

「私の名前……覚えてる?」

「いや…だれ?」

「あんた…鮗歩のパートナー鱈場千鶴!」

「はっ、なんで俺の名前知ってんの!?喋ったっけ?」

心の中でそこかよっと言うツッコミをしつつやっぱり名前を覚えていなかったのかと呆れた。

「部屋にあんたの教科書が置いてあったのよ。」

「あ。なるほど。」

私は話の本題にはいった。

「私はこの学園に運命の人を探しに来るためにここに来た。あんたは?」

「俺は…金とここの社長とちょっとした知り合いで……。別に金つんだとかじゃねぇよ?!」

「わかってるわよ。この学園でそんなことできないもの。」

「私はね……」

私はもう一度大きく息を吸った。

「私は、この学園に運命の人を探しに来たけどあんたが社長になることを求めるのなら私はそれにできる限りの協力をするつもり。」


だって────こいつは絶対に運命の人なんかじゃない。そう思ってるけど……。

「私はあんたが運命の人なんて信じてない。だけど仮にもあんたはパートナーだから。あなたとパートナーでいる限りはあんたの叶えたいことにも協力するわ。」

彼__歩は一瞬目を見開いたがすぐにいつもの感情が読めないポーカーフェイスに戻した。

「だからあんたにも私のしたいことに協力して欲しい。そして何よりもっとあんた…歩のことを知りたいと思っている。いい?」

「……まぁ。いいけど、お前に優しくするとかはないから。」

少し腹が立った。

……まあ、いいか。

「それと私はあんたのことを歩と呼ぶ。」

「あっそ。それだけ?じゃあ。」

最後にも素っ気ない態度を取られてしまったが彼を信じて私も教室にむかった。