彼が食事をしに部屋から出ていった。

｢あ｣

彼の教科書がテーブルに置いてあるのを見つけた。あいつの名前が書いてあって思わず声を漏らした。

＿＿＿鮗 歩(このしろ あゆむ)。

あいつ……歩！私の運命の人を返しなさいよ！

そんなことを考えて私はある人に相談をしに行くためにルームキーを持って部屋をでた。


＿＿＿ピンポーン

｢はーい｣
中から可愛らしい声が聞こえた。

｢あ、ちぃちゃん！どうしたの？｣

｢こ、こっちゃーん！相談があるの…｣

｢そっか！入って入って、まぁ私の家じゃないんだけどね｣

そういって｢こっちゃん」こと銀宝 琴弓(ぎんぽ ことみ)。私の幼なじみで私を唯一理解してくれている親友だ。

｢おじゃましまーす。｣

挨拶をしてあがらせてもらった。

｢で、ちぃちゃんどうしたの？｣

こっちゃんが丁寧にお茶を運んできてくれた。物音もしないためどうやらこっちゃんのパートナーはいないようだ。

｢それがね─────────｣

私は今日起きた出来事を全て話した。こっちゃんは私が運命の人を探していると知っていたのでそこの説明は省いた。

｢なるほどね…。うーんやっぱり相手と出会ったばっかりだし様子を見るのがいいんじゃないかな？｣

そっか……。そうだよね。ちゃんと相手のことを知ることが大事なのかな。

自分の考えをまとめてから私はこっちゃんの部屋を出た。

｢ありがとう！こっちゃん、またね！｣

｢うん！こちらこそちぃちゃん！｣

帰ったらちゃんと歩と話そう。私の中に微かな希望ができた。