2年で離婚予定の妻ですが、旦那様が永久溺愛で逃がしてくれません

「瑞穂、瑞穂」

耳に馴染んだ声を手繰って瞼を開くと、視界にぼんやりと斗真さんの顔が映った。

「斗真さん……」

「酔っているのか?」

私に触れた大きな手が、火照った頬を心地よく冷やす。

今何時だろう。

外は真っ暗だから、まだ夜が明けてはいないようだ。

……帰ってきてくれたんだ。

「斗真さん…おかえりなさい」

呂律がうまく回らないし、頭もぼーっとする。

「遅くなって悪かった。だが瑞穂、これは飲み過ぎじゃないか?アルコールは弱いから飲まないと言っていただろ」

斗真さんの視線がテーブルに向く。

途中から記憶がないけど、ワインのボトルは丸々一本空けたようだ。

「とりあえずベッドに運ぶぞ」

体が持ち上がり、クラっと目がまわる。

あったかいな。

斗真さんの胸に顔をくっつけ、頬ずりをする。

これは夢なのかな。

あまりにも斗真さんに会いたくて、夢にまで見てしまったのかもしれない。

ふかふかのベッドにゆっくりと降ろされ、温もりがはがれる。

「待ってろ。水を持ってくる」

「……いや!」

思わず声をあげると、振り返った斗真さんは丸い目をしている。

「ここにいて、斗真さん…」

呂律が回らない声が潤む。