2年で離婚予定の妻ですが、旦那様が永久溺愛で逃がしてくれません

スマホを持った手を力なく下へおろした。

……『彼女』も来ていたんだ。

そうだよね、せっかくのリゾート地だもん。

好きな人と一緒にいたいよね。

瞳が潤んで、オレンジの景色がぼやけていく。

斗真さんには他に好きな人がいること、二年後には離婚すること、ちゃんとわかっていたはずだったのに、最近浮かれすぎていたのだ。

バカみたい。斗真さんは妻である私へのサービスで誘ってくれただけなのに、彼のやさしさを勝手に勘違いして。

夕日が地平線に消えていき、空はあっという間に暗くなっていく。

まるで私の心みたいだ、なんて感傷的になってしまう。

ディナーは二人分で予約されているのだからひとりでクラブラウンジへ行くのは気が引けるし、そもそもひとりでラウンジに食事に来ている客はほとんどいないだろう。

悲しい気持ちになるだけだし、きっと美味しくいただくことはできないから、フロントに電話をして、夕食もルームサービスで済ませることにした。