「さっきのことは気にするな」

帰り道、斗真さんは運転しながら言った。

「あんなことを言われたら瑞穂もいい気分はしないだろう。あまり実家には行かないようにしよう」

「いえ、それじゃお義父様たちが寂しいと思いますし、私は平気ですから」

斗真さんが黙り込んで、ハッと気づく。

二年後に彼女と結婚することを考えて、今はご両親とは極力子供の話をしたくないのかもしれない。

どうしよう。余計なこと言っちゃった。

慌ててほかの話題を探す。

「そ、そういえば、幸斗さんが子どもを作らないっていうのは、いったいどういう……」

言いかけて口を噤んだ。

これはデリケートな話だから、気軽に聞いていいものじゃないよね。

焦ってさらに言葉を探そうとしたけど、斗真さんは

「あいつはちょっと特殊な事情なんだ」

とさらりと答えた。

どういう意味なのか疑問に思ったけど、それ以上は何も言わないことにした。

さっきから余計なことばかり言っているから、ちょっと慎もう。