2年で離婚予定の妻ですが、旦那様が永久溺愛で逃がしてくれません

「瑞穂、大丈夫か?」

斗真さんが心配げな顔で私を見下ろす。

「あ、あのっありがとうございました。どうしてここに……」

「偶然このあたりに用事があってな」

「そ、そうなんですか」

偶然……そんなことがあるんだ。

でもおかげで助かった。

斗真さんが来てくれなかったら、どうなっていたかわからない。

「坂本さん、昨日独身だって言ってたんですが、斗真さんはどうして既婚者だってわかったんですか?」

「……それも偶然だ」

もともと知り合いだったのかな?ううん、そんな感じには見えなかったけど。

「表に車を停めてある。帰ろう」

深く考える間もなく、斗真さんが私の手を握りゆっくりと歩き出す。

その温もりに安心して、私もそっと斗真さんの手を握り返した。