斗真さんから『今日は早く帰れる』とメッセージが来ていたから、自宅に帰ってすぐに夕食作りを始めた。
今日の主菜は新じゃがいもと牛肉の甘辛煮だ。
19時半過ぎ、玄関ドアが開く音がして斗真さんがリビングに入ってきた。
「ただいま」
「おかえりなさい。ごめんなさい、お料理で手が離せなくて、お出迎えできなくて…」
「いや、そんなのはいい。気にするな」
斗真さんは上着を脱ぎ、それをソファの背もたれにかけた。
「これはなんだ?」
テーブルに置いていた坂本さんのお土産の紙袋を、斗真さんが持ち上げる。
「九州のお土産だそうです。お店の常連のお客様が買ってきてくださって」
「九州か。中身はなんだろうな」
斗真さんは紙袋の中身を覗き込み、そしてなぜかそのまま沈黙した。
「どうしたんですか?」
まな板のサラダ用のきゅうりを切り分けながら問いかける。
「これをくれたのは男か?」
「はい。営業のお仕事をしているようですよ。出張が多くて大変みたいです」
斗真さんはなぜか黙り込んだまま射貫くようにじっと私を見つめた。
ドキッとして手元がぶれ、包丁の刃先が指に当たる。
「いた…っ」
思わず声が出て手を引っ込めると、斗真さんは「大丈夫か?」と駆けてきて、私の手をとった。
そして、すぐに血が滲んだ人差し指を口に含む。
今日の主菜は新じゃがいもと牛肉の甘辛煮だ。
19時半過ぎ、玄関ドアが開く音がして斗真さんがリビングに入ってきた。
「ただいま」
「おかえりなさい。ごめんなさい、お料理で手が離せなくて、お出迎えできなくて…」
「いや、そんなのはいい。気にするな」
斗真さんは上着を脱ぎ、それをソファの背もたれにかけた。
「これはなんだ?」
テーブルに置いていた坂本さんのお土産の紙袋を、斗真さんが持ち上げる。
「九州のお土産だそうです。お店の常連のお客様が買ってきてくださって」
「九州か。中身はなんだろうな」
斗真さんは紙袋の中身を覗き込み、そしてなぜかそのまま沈黙した。
「どうしたんですか?」
まな板のサラダ用のきゅうりを切り分けながら問いかける。
「これをくれたのは男か?」
「はい。営業のお仕事をしているようですよ。出張が多くて大変みたいです」
斗真さんはなぜか黙り込んだまま射貫くようにじっと私を見つめた。
ドキッとして手元がぶれ、包丁の刃先が指に当たる。
「いた…っ」
思わず声が出て手を引っ込めると、斗真さんは「大丈夫か?」と駆けてきて、私の手をとった。
そして、すぐに血が滲んだ人差し指を口に含む。