2年で離婚予定の妻ですが、旦那様が永久溺愛で逃がしてくれません

控室へ入ると、窓の外を眺めていたのか、正装に着替えた斗真さんがこちらを振り返った。

彼の後ろに星が煌めいて見えたのは、例の如く私の錯覚だろう。

光沢のあるダークグレーのタキシード姿はとても素敵で、やっぱりこの人は王子様だと思う。

気恥ずかしくて視線をそらすと、コツコツと靴音を立て斗真さんが近づいてくる。

「和装も似合うが、洋装もいいな」

「え」

思わず顔を上げる。

和装って……結納の時のこと?

「あ、いや……その」

斗真さんはなぜか口ごもり、咳払いをする。 

照れているように見えるのは都合が良すぎる解釈かな。

だけど、振袖姿の時も斗真さんはそんなふうに思っていてくれたんだ。

嬉しくて思わず頬を緩ませると、彼はなぜか顔を曇らせた。

「瑞穂、なんだか……」

斗真さんが私に手を伸ばしたのと同時にノック音が鳴り、彼はすぐに手を引っ込めた。

「副社長、瑞穂さん、お時間です」

春海さんの声だ。

「い、行きましょうか」

どぎまぎしながら斗真さんに笑いかけて歩き出す。


今の、なんだったんだろう。

何を言おうとしたのかな。

春海さんが一緒だから聞くことはできず、会場までの廊下を進んだ。