2年で離婚予定の妻ですが、旦那様が永久溺愛で逃がしてくれません

マスター直伝の煮込みハンバーグは、私が小さい頃からの大好物だった。

マスターは長年の経験から目分量で材料を計っているため、どう真似ても同じ味にはならないけど、私の一番自信のある料理だ。

時計は二十時を指している。

帰りが何時になるのかわからないけど、遅くなるなら外で食べてくるかもしれない。

斗真さんの分は明日自分で食べようと思いながら、一人分だけを盛り付ける。

広いダイニングテーブルで、ひとり椅子に座る。

ハンバーグにナイフを通すと、肉汁がじわっと溢れ出た。

幸斗さんが帰り際、『最近仕事落ち着いてきたみたいだよ』と言っていたから、夕食は一緒に食べられると思っていたのに。

本当は仕事で遅くなるんじゃなくて、私と顔を合わせるのが嫌なんだろうか。

もしかして今、彼女と一緒に……

じわりと目の奥が熱くなる。

泣くな、私。

結婚したって私が片思いのままなのは変わらないんだから、何の期待もしてはいけない。

ぎゅっと目をつぶり、それからハンバーグの大きなカケラを口に頬張る。

「……おいしい」

デミグラスのハンバーグは、少しだけ涙の味がした。