2年で離婚予定の妻ですが、旦那様が永久溺愛で逃がしてくれません

「ほかにも女がいるなんてひどいやつじゃないか。俺なら瑞穂ちゃんを幸せにできるのに」

声が出ず、ふるふると首を横に振って一歩後ずさった。

「俺は妻と別れたし、心置きなく瑞穂ちゃんと一緒になれるのに、そんなにあいつがいいの?」

私を見る坂本さんの目は据わっていて、静かながら怒りが感じられ、危機感が募っていく。

「俺のものにならないなら、いっそ一緒に死のう?」

坂本さんがポケットを探り、出てきたのはバタフライナイフだ。

振り上げられたそれが、太陽に反射してキラリと光った。

「やっ……」

「瑞穂!」

恐怖に目を瞑った時、斗真さんの大声が聞こえた。

目を開けると、振り下ろされかけたナイフを必死に止める斗真さんの背中がある。

「瑞穂!逃げろ!」

坂本さんの力は思いのほか強そうで、斗真さんが苦しげな声をあげる。

このままじゃ斗真さんが刺される。

「やだ……斗真さんっ!」

私の泣き叫ぶ声が空に響いた瞬間。

「斗真、よけて!」

ドスのきいた声が聞こえ、横から飛んできた足が坂本さんの体を打ち飛ばした。

こちらを振り返った斗真さんが私の体を包み、その後ろでナイフがくるくると宙に舞うのが見えた。

「いてっ!うわっやめろ!」

「瑞穂さんに手を出そうなんて百億年早えーんだよっ」

「うわああああっ!」

何が起こっているんだろう。

私の位置からは見えないけど、坂本さんが断末魔のような悲鳴を上げている。