斗真さんはふとテーブルに目をやって眉根を寄せる。

「瑞穂、料理にほとんど手をつけていないようだな。つわりでしんどいのか?医者を呼ぼうか」

深刻そうな斗真さんに思わず噴き出した。

こんな軽いつわりくらいで…そもそもつわりじゃなく精神面での問題で食欲がなかっただけかもしれないのに、お医者様なんて必要ない。

「大丈夫です。お腹が空いてきたので、あとでちゃんと食べます」

「そうか」

斗真さんは安堵した様子でさっきよりも控えめに私を抱きしめる。

「今すぐ瑞穂をベッドに連れて行って抱きたいところだが、子供のために我慢しよう。だが一年近く待つのはきついな」

斗真さんは悩ましげにため息をつく。

「お医者様には、もう少し安定したら、激しくなければしてもいいと言われてますよ」

診察時に医師に説明されていたため、恥ずかしながらそう言うと、斗真さんはまたもやため息をつく。

「激しくできないのも地獄だ。気が狂いそうなくらいに、瑞穂をめちゃくちゃに愛したいのに」

真顔で言う斗真さんにドキドキして、顔から耳まで熱くなる。

斗真さんは私の顎を持ち上げ唇を重ねたあと、大きな瞳に私を映す。

「瑞穂を愛してる。ずっとそう言いたかった」

「私もです。斗真さんのことを、愛しています」

斗真さんはやわらかく微笑み、もう一度私を抱きしめる。

私は彼の胸に頬ずりをしながら、幸せを噛みしめて目を閉じた。