世界を救うために奮闘するお話

リチャードとリコット兄妹は
このアリシア大陸一番の魔力の持ち主だ。

その証拠が黒い髪に金色の瞳だ。
魔力が上質で高ければ高いほど
髪色は黒く、瞳の色はまばゆい程に輝く金色になる。2人にはそれが顕著に現れていた。

中でも、リコットは稀な魔法使いだった。

他の家族は攻撃魔法の名手で
あらゆる属性の魔法が使えたが
治癒能力は止血できる程度のもので
シールド能力は相手の攻撃を受ける際
急所から外せる程度だった。

特にリチャードは今世紀最強と言われる
攻撃魔法の名手だった。
戦場で誰よりも目立ち規格外の攻撃を仕掛け
オマケに魔物すらも虜にしてしまう容姿なので『黒神の賢者』だとか『黒神の王子』という通り名がついている。

リコットは攻撃魔法は全く使えず
治癒とシールド能力を得意とした。
洞窟の中を明るく照らしたり
体感温度の調節や拘束具を外せたりと
補助的な魔法で彼女の右に出る者はいなかった。


特に、治癒能力とシールド能力は
非常に高く


命さえあれば、どんな怪我や病気も癒す。


シールド能力はどんな攻撃も防ぎ
ピンポイントで何箇所にも展開できた。


家族は皆、リコットの能力を
希少だと高く評価していた。


幼少期の頃はこの能力で
良く兄とイタズラしたりで
毎日が楽しかったが
いずれ、自分にも攻撃魔法が使えるように
なると思っていた。


だが、いつまでたっても
いくら練習しても使えるようにはならず。


家族の気持ちとは裏腹に
10才になる頃には
当の本人はこの地味な能力に
多大なコンプレックスを持っていた。