何かがおかしいと
一行も黙ってその従者を観察するが
特段変わった所もない。

すると、リコットは誰にも悟られないように
手を伸ばし、こっそりとその従者の身体に触れた。そして、少しの時間が経過すると従者の顔色が急変した。

「はっ!!私は……一体
これは?!!皇太子様
ようこそおいでくださいました!
招待者リストの確認を致します、、、。
はい、確かに確認を致しました!
お待ちしておりました。
皆様お入りくださいませ、、」

何が起こったのかわからないような
表情でその従者は頭をブルブル振ると

従者は先程とは違って腰が低くなり
何度も頭を下げながら一行を通した。

毅然とした態度でリコットの前を歩く
メイファンの背から視線を少し下げると
手が小刻みに震えていた。

どうか、お2人で抱え込まないでくださいませ。
わたくしの出来る事ならば、なんだってやりますから、、、

リコットは安心させるように
こそっと手を握ると、メイファンは
前を向いたまま握り返してきた。

お2人が懸念されていた事が
現実となっておりますね、、、。
だって、わたくしがあの従者に施した魔法は
魅了解除なのですから。

気を引き締めていかなければ、、、
リコットは軽く深呼吸しながら入室したのだった。