「ああ〜!
もう、この話聞き飽きましたわッ!!
何回同じ話をすれば気が済むの?!
耳にタコができてしまいますっ!!」

顎の辺りまでに切り揃えられた黒髪に
金の大きな澄んだ瞳を持つ
年頃の女の子が机に突っ伏した。

そりゃそうだ。
18才の年頃の女の子が毎日のように聞かされている、自分の家の習わし。

学生時代にも授業で何回もやって
教科書にライン引きまくった思い出。

このくらいの周りの子はみんな社交界や
好きな男の子の話や、かわいいものの話で
盛り上がるのが常である。

「おじょー様!? はしたないですよ!
言葉遣いもお気をつけくださいっ!!
あなた様は由緒正しき
メリディ国の王族の
姫殿下リコット様で
あらせられるんですよ!!」

と、わたくしの専属街女のマチルダが
嗜める。