「いこ〜!」

「ちょっとまって…」

朝からご飯食べるのに時間かかって、私の方が早く食べ始めたのに、もうほとんど汰友くんの方が先に食べ終わってる。

まるで私がねぼうしたみたいじゃん…

「おはようございます…」

席が近い子は誰だろう… って隣もパートナーの人なんだ!

じゃあずっとドキドキだ。

はやく授業終わらないかな…


:

『はーい♡ 生徒諸君!』

何が始まるんだろう。

私は寝てて気づかなかったけど、昨日警報鳴らした人がいるらしいからそれについての注意かも。

『今日は 先輩も後輩もいない 君達のために 私達が 新入生歓迎会を企画しましたー!』

歓迎会!

私ずっと 「真面目」 で育ってきたけど、いつも学校の行事はめっちゃ大好きだったんだよね。

何するんだろう。 小学校では男子が言い張るからドッヂボールだったなぁ〜

中学校のときはまだまだ子どもだったから爆弾ゲームとかもやったなー

さすがに高校だからそんなことはないと思うけど…

『こんなゲームを用意しました!』

「風船?」

「え なに?」

なにやるんだろう

『この風船の中には 色んな質問の 書かれたカードが 入っています』

あぁ それで風船を割ってパートナー同士で質問に答え合うやつでしょ?

結構単純なー…

『ちなみに風船はこうやって お腹に挟んで2人で抱きしめあって割ってね♡』

えっ⁉︎

無理 無理 無理 !

世間の恋人同士は普通にやってるの?

私がずっと「つまんない」って言われてたのはそれが足りなかったせいなの?

『それじゃあ スタート!』

やばい 汰友くん、何も考えずに飛びついてきてくんないかな。

そしたら気が紛れるんだけど…

「大丈夫そ? 行くよ?」

「えっ! あっ えっ⁉︎ ちょっ待っ…」

「せーの!」

パンッ

私の動揺をよそに汰友くんは面白そう。

「次は、2個いっぺんにやってみよ!」

2個⁉︎ 危なくない?

「危ないよ。やめといたほうが…」

「大丈夫!せーのっ!」

「んっ…!」



パパンッ



楽しい!

汰友くんとパートナーじゃなかったら、こんな経験出来なかったかも。

「ふ…ふふっ」

「あっ やっと笑った! よかった〜!」

あっ 私、笑っちゃってた?

やばい なんか気をぬいっちゃった。しっかりしないと…

「そういえば質問のカード忘れてた!えっと…花鈴ちゃんの好きな飲み物は?」

「うーんと 緑茶かなぁ。小さい頃からお水よりお茶の方がよく飲んでたし」

「そっかー。僕は水派だな!」

私的には、水は冷たくないと美味しくないから、冬にはちょっときついって意味もあるんだけどな

「じゃあこれは?汰友くんの大切にしてること」

「僕は-…」

『注目〜!みんなそれぞれ仲を深めれたかな?優勝はこの2人!』

タイミングが悪い…

聞きたかったな〜 汰友くんの大切にしてること。

でも、そしたら私の大切にしてることも、言わなきゃいけなくなるんだよね。

……私の大切にしてること?

なんだろう…

汰友くんならいっぱいありそうだなぁ。

私の大切にしてること…… か

強いて言うなら、自分の名前かなぁ…

でもそれじゃあ私の大切にしている “こと” ではないかなぁ

でもー…

「…ちゃん!花鈴ちゃん!」

「うわっ、なっ何?」

「お風呂先入っていいよ!」

あ!私ずっと考えてたんだ。

汰友くんはどんなことを答えるんだろうって。

何が好きでどう感じるのか…

無意識のうちに頭の中が汰友くんの事でいっぱいになってたんだ…

でもここは七海学園

汰友くんポイントとか評価とか気にしてなさそうだから私が頑張らないといけないし!

今日はもうとにかく寝るしかない。

「おやすみなさい。あっ お風呂終わったよ。」

「うん ありがと!おやすみ〜!」

ふぁ〜明日もなんかありそうだし、朝は今日より早く起きないとまた置いてかれそうになるし、もう何も考えず寝よ。

「花鈴ちゃんもう寝た?」

「いやまだだけど」

「よかった〜これみて!」

何があったのかな。

「見て見て!」

『パートナーの緊張をほぐすため、いろんな割り方で遊ぶ 川崎 & 小澤ペア』

⁉︎ 何これ!

一日中見られてるってこと?

それじゃあ、ますますしっかりしないとじゃん。

「すごくない?♡102,342 だよ!一番多かったとこにあとちょっとでとどくところだったんだよ!」

そうか。普通なら嬉しいんだよね。

「うん。すごいじゃん。明日も頑張ろうね」

「うん‼︎」

めっちゃ嬉しそう

「おやすみ〜!」

「おやすみ」