(ふぅー 。よしっ)

私はドアをそっとおした。 初めてのパートナーとの顔合わせ。

「よろしくおねがいしま___」

私が言い終えるより先にパートナーは元気よく

「よろしく!」とのぞきこんできた。

えっ…。
超高性能なマッチングシステム“デステニー”で選ばれた最高のパートナーってこの人? 本当に⁉︎

なんかしっぽ見える気が…
. .
「僕は川崎 汰友(かわさき たう)。 たうって呼んでね。 あっ 荷物はこの辺においといてね!」

「あっ、うん。えっと…私のなまえは小澤 花鈴(おざわ かりん)です。」

なんかパートナーの人…じゃなくて汰友くんって、ぐいぐいくるし、めっちゃしゃべるじゃん!

でも、この感じなんかどこかで… ま、いっか。

『もうすぐ入学式が始まります 生徒の みなさんは体育館に移動してください』

「だって!いっしょに手つないで行こっ!」

「へ⁉︎」

いきなり⁉︎

「あれ?だめだった?やだったら別にいいけど」

と言いながらめっちゃ行きたそうな顔してるし。そんな顔しないでよ…

でも、いままでみたいに『真面目すぎてつまんね』って言われないようにしないと‼︎

「手っ、つないでいこ‥!」








「ふぁ〜 終わったー!お腹すいたね。花鈴」

「うん。初日だし、食堂で食べよっか」

「 うん!ごっはん〜ごっはん〜」

もうご飯のことしか頭にないって感じ。

ふふっ。なんかかわいい

「じゃあ僕これ!」 ピッ

ええっと、私は簡単に食べれるものがいいから…

「じゃっ、じゃあ私はこれにしようかな」 ピッ

「はーい。どうぞ。うどんと醤油ラーメンです。」

「ありがとうございます」

めっちゃ熱そうなんだけど。

「おいひーね!花鈴。」

「そうだね」

どうしよう…私、食べるのおそいんだよね。 熱いから余計時間かかるし。

でも、汰友くんもそんなはやい感じじゃなさそうだけど…。

「ごちそうさまー!」

はや!私まだ半分くらいしか終わってないのに…

「じゃあ僕先戻ってるね〜」

「えっ、あっ、うん」

あぁ うんって言っちゃった。

1人じゃつまんないのに… てか一応結婚する相手なのに食べれるスピードこんなちがっていいの?

やっぱマッチングシステム壊れてるのかな? まさかそもそもこの学校に入学した人の中で、私とベストパートナーになれる人が1人もいなくて、おたがいあまったどうしとか⁉︎

そんなの悲しすぎるでしょ…

「ふうー。ごちそうさま…」

色々考えてたらいつの間にか食べ終わってたし。

集中したらはやいんだよな〜

ご飯食べるのって結構体力使うな…部屋もどったら寝よ。

「ただいまー」部屋のドアを開けると

「おかえりー!」 と嬉しそうに駆け寄ってくる汰友くん。

シッポが見える…

そうだ!この感じ、いつも私を見てシッポを振って駆け寄ってくる愛犬のクッキーにそっくりなんだ!

気づくよりも先に、思わず汰友くんに両手を広げて抱きしめるポーズを構えてる自分に、今さらながら恥ずかしくなっても、引くに引けないこの状況…

汰友くん…引いちゃったよね…て⁉︎ん⁉︎

「おかえり」と優しく抱きしめ返してくれる汰友くん。

あぁ、落ち着く。

汰友くんの嬉しそうな顔や弾むような声を聞いていると、ふっと自然な自分に戻れる。

頭で余計なことを考えず、リラックスした心が動き出す。

汰友くんと一緒にいる時の自分って、自分らしくて心地いいな。

そう思っていると、急に眠気を感じてきた…

「ふぁ〜…眠くなってきちゃったな…」

「そうだね。初日で疲れちゃったもんね。部屋、どちらにするか決めようか。どっちがいいとかある?」

正直なところ、私 怖がりだから一緒に寝たほうが落ち着くんだけど…

でもさすがにそれは無理だから、 だったら多分すみっこの方が落ち着くんだよね。

でもほとんど同じだよね… どうしようかなぁ

「じゃぁ… 奥の方でいいかな?」

「OK! ごゆっくり〜」

「ありがとう!」

ベッドに横になると同時に、私は初日の疲れでそのまま寝てしまった。