「始まる?復讐劇?なんのこと?」


「お前が群れを出てってからこの話が始まったんだ、そろそろ人間に地球の座を開け渡してもらおうってね」


「そんなのどうやって…!」


「殺すんだよ」


兄さんはなんの躊躇いもなく言い放った


「何人かもしくは何十人か、見せしめに殺す」


「そんな!ちゃんと話し合えば…」


「人間がこんな俺たちと話し合いに応じると思うか?!」


兄さんは狼の耳と尻尾を出した


そうだ僕達がずっと隠れて生きてきたのは狼だからじゃない


人狼だからだ


昔から人間を喰らうと言われてきた人狼だから


「お前だってわかってんだろ?俺たちがまともにやり合ったって人間には勝てない、話し合いをするためにも犠牲は必要なんだよ!」


兄さんは僕の肩に手を置き俯く僕の顔を覗き込んだ


「お前は人狼(俺たち)の見方だろ?この作戦にはお前の役目だってちゃんとあるんだ、役に立つチャンスなんだよ!だから帰ってこい」


人間を殺す、殺せばみんなが…地球の生き物が幸せになれる、


でも人間は…


蓮は…


「兄さん……ごめん」


僕は兄さんの手を払った


「僕…殺すのには…反対」





「お前はほんと昔っからめんどくせぇやつだな」


「え?」


顔を上げると兄さんは怒っていた


「え?じゃねぇよ、こっちが許してやるって言ってんのに、人間の味方する気か?」


兄さんは僕にさらに近づいてきた


僕は後退りをする


「違うよ!どっちの味方とかそうゆうんじゃ無くて」


「いいか!今の俺はただの兄貴じゃねぇ、群れのリーダーなんだよ、俺の指示でなんだってできる」


「もちろん反逆者を殺すことだってな」


「兄さん…何言って……」


気づけば屋上の柵のところまで来ていた





「お前も敵だ、ロウ」