僕は人間の街にいた


兄さんに家を追い出され、行くあてもなくふらふらしていた


「あ、犬だ〜」


「可愛い〜」


すれ違う人間たちが寄ってくる、


今は1人になりたいのに


変わるか


僕は人間の姿になった


服着てないじゃん


探しに行こう




僕は服を見つけ数日彷徨った


お腹が空いたら狼の姿になり、人間たちからご飯をもらった


いつものようにぶらぶらしているとあの匂いがした


「ゲホッ…」


またタバコ…


「あ?何見てんだ?」


「あ、いえ…」


変なのに巻き込まれるのはごめんだ


僕はその場を急いで離れた


前から男の子が来ている


そっちにいったらさっきのやつに絡まれるよ…


すれ違った時、懐かしい匂いがした


あれ?この匂い…なんだっけ…?嗅いだことある







「まって!待って!い、言わない!誰にも言わないから!暴力はやめましょう!!」


この声…思い出した




あの時の子だ…………


蓮だ!







気づいたら僕は駆け出していた





タバコを吸っていた奴らをボコボコにした





「助けてくれてありがとう、君は怪我してない?」





蓮は僕のことを覚えていなかった


当たり前か






あの時は人間(こっち)の姿じゃなかったもんな