「SNS更新だけど、どこがいいのかさっぱりなんだよね。みんなのを見てると何かを
食べたり、遊んだりしてるからそういうことすればいいんだよね…?」

あたしたちは街を歩きながら相談していた。


「俺もよく分からない…。夏はゲームセンターだったしな。」


「そうそう。何かカップルぽさ無かったから、次はカップルぽさ出したいよね…。」


突然、虹叶が足を止め、あちらを指差した。


「星出、あそこにクレープ屋がある。」



「ホントだ、虹叶食べるの?」



「いや…カップルが食べてるから、これもいいんじゃないか?」



「確かに。クレープで撮ってみよっか。」



「いらっしゃいませー。」



「どうしよう。キャラメルいいな…。王道のチョコバナナも捨てがたい…虹叶は?」


「俺は甘いものはあまり得意じゃない。」


確かにあまり食べているところを見たことがない。


「そっか、うーん…」



「すみません、キャラメルとチョコバナナください。」



「虹叶!?」



「星出、悩むなら両方食べればいい。」



「で、でも…。食べれないかも…よ…」


「問題ない。俺が食べる。」



「苦手じゃないの?」



「食べれないわけじゃない。」


虹叶は優しいな…。



「お待たせしましたー。」



「うわぁ…!美味しそう!って先に写真だよね!」


どうやって撮れば…。と考えているとぐいっと肩を寄せられた。



「え!?」



「星出…こっち向いて」


カシャッ



「こんな感じか?」


急なことで驚いてしまった。
まだ、寄せられた肩の感触が残っていた。
ほっぺがくっついた…。近かった…。
虹叶ってこんなに大胆だったっけ。私がリードしてドキドキさせようと思ったのにドキドキさせられた…。

「こ、これなら仲良し感出るよね…」


突然のことで何が起きたのかすぐに把握できなかった。
ドキドキして、まだ頬に熱が籠ったままだった。




「鮎川と梶のを実践してみたんだが…。ダメだったか?」



「全然大丈夫!っていうか虹叶も調べてくれてたんだ…。」



「ああ。星出ばかりに頼ってはいけないからな。」


そういうところ嫌いじゃないんだよね。
さりげないところとか天然なところとか。



「ねぇ…虹叶、私たちって本物のカップルじゃないじゃん。そうするとゴールデンカップルにはなれない。これから進んでいくにつれて本物のカップルじゃないことが枷になると思う。虹叶はどう思ってる?」


「俺は…」

と言いかけると、



「星出さん!虹叶くん!」


聞きなれた声が聞こえた。



「初ちゃんと鮫上じゃん。デート?」




「あ、は、はい…。」



「初。なんでそんなに照れるの。」



「え!や、やっぱり面と向かって言うのは恥ずかしいといいますか…。何といいますか…。」

照れながら話す。


「いい加減慣れて。」


顔に手を当てて照れを隠していた。

鮫上も照れることあるんだ。
初ちゃんの前ではそんな顔するんだ。


「おい。鮫上。倉下のこと泣かせてねぇだろうな。」

と睨み付けて言った。まるで保護者だ。


「えー。それは保障出来ないって言ったはずだけどぉー。」
いつものようにヘラっとして答える。


「てめぇ…泣かせてたらただじゃおかねぇ。」


相変わらずだな…。この二人は…。


「虹叶くん!私は大丈夫ですよ!紺くんは優しいですし、最近ではおやすみのキ…。」


虹叶が拳を握りしめ殴りかかりそうになっていた。

「初、そこまで。俺死にたくないから。」


へぇ。鮫上もやるようになったじゃん。
初ちゃん幸せそうだなー。

「鮫上、てめぇ…。今回は倉下が幸せそうだから見逃してやる。次は…」


「はいはい。初、そろそろ行かないと間に合わなくなるよ。」



「そうでした!星出さん、虹叶くん!また学校で!」



「相変わらずというかますます仲良いよね、
あの二人。」



「ああ…。倉下が幸せならそれでいい。」
その言葉を言う姿は少し寂しそうだった。
本当に初ちゃん思いだな。虹叶らしい。



「そういえば、あたしら次どこに行く?」



「そうだな…。経験がないから何をしたら良いのかよく分からない…。」


「そうなんだよね…。他のカップルは買い物の風景を撮ってるみたいだよ。」


「ならそこのショッピングモールに行ってみるか。」

と虹叶が指をさして言った。