そして、目を細めながら彼女に問いかける。

「もしかして……魔獣の心がわかるのか?」
「わからない、でも聞こえてくる。訴えてくるの、私の頭の中に、この子が」

 ニコラはリーズと魔獣を交互に見つめると、しばし思案した後に剣を収めた。

「……わかった。怪我だけ治す。それ以降はすぐに森に返す。いいね?」
「うん、まずはこの子を救いたい。見捨てたくない」

 リーズの強い意思の宿った目を見て、ニコラははあとため息を吐いた。

「魔獣を保護してるなんてしったら、なんて言われるか……」
「大丈夫、危害は加えないと、この子が強く言ってきてる」

 気づくとわずかに魔獣の目が開いてリーズのほうを見ている。
 リーズは柔らかな微笑みを向けると、そっと頭をなでた。

「大丈夫、私が守るから」

 ニコラは仕方ないとばかりにリーズの頭をなでると、そのまま二人は森を出て村へと戻っていった──