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不釣り合い、なんてことは恋に落ちる前から、最初からわかっていたことだった。
「は〜、藤吉くんってほんと顔が良い。良すぎる。今日も今日とて目の保養」
「じつは芸能人なんです、って言われてもふつうに信じるよね。てか、うちらと同じ一般人ってことが信じられないくらい」
「それでいて頭もいいんでしょ? 同じ塾に通ってる子に聞いたんだけどさ、この前の期末もぶっちぎり1位だったって。しかも、数学は満点」
「ひえっ、ホント隙がないねえ。だって、運動神経もいいじゃん? 部活には入ってないけど、引く手あまたで顧問たちからの勧誘もすごかったってウワサ」
「なんかもう、そこまでいくと好きになるとか畏れ多くて無理だわ。雲の上のひとって感じ」
凪くんと出逢ったのは、中学1年生のとき。
入学してすぐ、凪くんは、クラスはおろか学校中が注目する存在になっていた。
容姿端麗、成績優秀、運動神経ばつぐん。
なんでもソツなくこなすハイスペックボーイ。
一学期が終わるころには “雲の上のひと” だとか “高嶺の花” だとか、そんな風に崇められるようになっていた。
もちろんそんな凪くんに恋をする女の子も少なくはなかったけれど、その誰もが「近づけない」「眺めているだけでいい」と口にした。
気づけば、凪くんは観賞用の王子様として扱われるようになっていた。