その沈黙をやぶったのは、意外にも凪くんの方だった。
「今日の夕ごはん、どうする?」
「夕ごはんって……どうして、そんなこと」
「今日から一緒に生活するんだろ、俺ら」
「あ……」
そう、だった。
この学校に入学したあかつきには、選ばれた運命のパートナーと男女ふたり部屋の寮生活。
食事も寝るのも一緒の部屋、まるで、家族みたいに。
想像してドキッとした私とは正反対に、凪くんは涼しい顔をしている。
「とりあえず、今日は学食使うか」
「っ、うん」
「これからのことはまた決めていけばいいし」
“これから” 。
凪くんが何気なく発したワードに、とくんと胸が疼く。
私のなかで終わってしまったことになっていた凪くんとのことに、とつぜん “これから” なんてネクストステージが現れて、どうすればいいかわからない。
凪くんのことは今でも好きだけど……そんな凪くんの運命のパートナーに選ばれたことを、素直に喜んでいいのかも、わからない。
凪くんは、今、どう思っているのかな。



