ぐっと近づいて来たかと思えば、遠ざけられているように感じるときもあって、凪くんとの適切な距離がわからない。
そんなもやもやを抱えたまま、一学期が終わろうとしていた。
「体育祭も終わって夏休みまで残る行事は期末試験のみ なんてさみしいので今日の1限目はボーナスゲーム “運命の花嫁を探せ” を行いまーす♡」
ピンポンパンポーン、とチャイムのあと、学園長の声が校内に響きわたる。
突然はじまるゲーム課題にも徐々に耐性がついてきたけれど……今日は何をするんだろう、と思いつつ学園長の指示に従って更衣室に向かった。
そこで女子生徒はヴェールを被って────。
「女の子たちにはヴェールを被って花嫁さんになってもらったわ。だけど厚めの生地を使っているため顔は一切見えません! 男の子たちはこの中からパートナーを見つけ出してね♡」
声も出しちゃだめだって。
120人もいる中、シルエットだけで見分けるなんて、無理難題。
……のはずなのに。
「見つけた」
私の目の前に来た瞬間に、凪くんはぴたりと足を止めた。
「りり」
凪くんが、私の顔にかかるヴェールをそっと上げる。
その優しい手つきに、胸がきゅうう、となった。



