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「まだ出逢ったばかりのパートナーとどうやって距離を縮めていいか悩んでいる子もいる子もいるはずだから力になりたいと思ってこんなゲームを用意しました!」
入学式から少し経って、凪くんとの寮生活を戸惑いながらも受け入れはじめたある日、新入生歓迎会と題して、体育館に集められた。
七海社長がパチンッと指を鳴らすと、私たちの頭上にいろとりどりのハート型の風船が降り注いでくる。
「な、なにこれ……」
魔法のように現れた風船に唖然とする私のとなりで、凪くんも首を傾げている。
「この風船の中には色んな質問の書かれたカードが入ってます。2人で風船を割ってゲットした質問に答え合ってお互いを知るきっかけにしてね」
なるほど……。
たしかに、ふつうに自己紹介するよりあえてゲームにした方が、質問に答えやすいかも。
よく考えられているなぁ、と感心したとき。
「ちなみに風船はこうやってお腹に挟んで2人で抱きしめ合って割ってね♡」
七海夫妻が、ぎゅうっとハグして風船を割る。
抱きしめ合って……。
抱きしめ合って……!?
ぎょっとしているのは私だけじゃなかった。
体育館中に動揺が広がるけれど、七海夫妻は容赦ない。
「それじゃあスタート!」
えええっ。
おろおろとしているうちに、パンッと風船の割れる音が響きはじめる。
みんな、照れながらも楽しそうにゲームに参加していた。
これが、七海学園高校……。
さすが “世界一の結婚” を目指す学校なだけある。