「……上村さん?」
「待って、ください……っ」
実行委員長の男の子も、他のクラスメイトもぽかーんと驚いたように固まっていた。
そりゃそうだ、私がこんな風に誰かの言葉を遮ってまで発言するなんて、はじめてだから。
柄にもないことをしている自覚はあった。
だけど、いてもたってもいられなくなったの。
「せ、せっかくくじ引きしたので……。くじ引きは、平等に配役を決めるためのものなので、くじで決まった役をそれぞれ頑張る、じゃ駄目かなっ?」
みんな、私を見ている。
凪くんも驚いたように目を見開いて、私を見ていた。
「私も……私なんかが、シンデレラなんて、主役なんて、ほんとは嫌だけど、できる気がしないけど、頑張るから!」
珍しく声を張り上げた私に、みんなはびっくりしたように息を飲んで、それから納得して頷いてくれたの。
「たしかに、りりかの言う通りかも」
「なんでもかんでも藤吉くんに押しつけるのも違うかー、反省!」
結局、くじ引き通りの配役に決まった。
(シンデレラ役は憂鬱だけど)ほっと胸を撫で下ろして、そのあとの休み時間。
「上村」
思えば、あれが、凪くんと交わした最初の会話。
きょとんと振り向いた私に、凪くんは柔らかく微笑んだ。
「さっきはありがと。助かった」
「え? ううん、私は思ったことを言っただけで、助けようとしたわけじゃ……」
「でも、助かったから。王子役はずれて、ラッキーって思ってたし」
「っ、ふふ」
「……なんで笑うんだよ」
凪くんみたいな、完ぺきな男の子でも、王子様役は嫌だって思ったりするんだって知った。
なんだか近くにいるような気がして、嬉しかった。
「あーあ、私も木の役がよかったなぁ。羨ましいよ、私なんかにシンデレラの役がつとまる気がしないもん……」
ほろっとこぼした弱音に、凪くんは言ったんだ。
「俺はすげえ楽しみだけど。上村のシンデレラ」
「どうして?」
「絶対似合うから」



